ごあいさつ

愛ラブ動物病院 院長 多 田 洋 悦

 人間をふくめたどんな動物でも、せっかくこの世に「生」を受けて登場してきたのですから、どんな事情
があろうとも生きつづける権利と、生きのびるチャンスはだれでも持っています。たとえ寿命がそれぞれ異
なった野生の鳥やカモシカでも、それはみんなおなじです。ですから、何かが原因で傷ついたり、命に関わ
るような状態に陥ったときには、誰かがそれを救う「心」と「技術」を持たなければなりません。
 その職業のひとつが「獣医師」です。
動物たちは、どんなに傷ついても、瀕死の重傷を負っても懸命に生きようといつもガンバっています。 目前に「死」という事態が近づいていたとしても、彼らの心の中には「死」という概念はなく、あくまでも 「生きつづけること」に対する無意識的な努力が存在しています。
 そこには、動物の一種であるホモサピエンスのように、肉体的苦痛や精神的負担の増大に対して、自らの 尊い「いのち」の糸を自分で断ち切ってしまうなどという、ネガティブな最悪の手段をとるようなことはな く、動物たちが有しているであろう苦痛の存在とその程度はともあれ、あくまでも自然な成り行きの中で「死」 を迎えるようとする姿勢に、尊厳性とポジティブかつアグレッシブな「生きざま」を見つけるたびに、わたし は大きな衝撃を受けています。
その視点から考えると、獣医師が障害や疾病に対して最後まで決して諦めずに正面から向き合うならば、多く の動物たちは、わたしたち獣医師を自分たちにとって必要不可欠な存在だと想ってくれるにちがいありません。
 わたしたち人間は、コンパニオンアニマルといわれる犬や猫だけではなく、産業動物からエキゾチッキアニ マル・野生動物まで、あらゆる動物たちとの共生の時代であるといわれている現代こそ、わたしたち獣医師も 「ヒュ−マン・アニマル・ボンド」の確立が急務であることを自覚し、すべてにおいて真摯な姿勢をもち獣医 業に従事したいものであります。

2004/07/07


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